貴社の知的財産権を侵害する商品/サービスを発見した方
こうした請求は裁判所に訴訟(裁判)を提起することで行いますが、通常は、裁判の前段階として、相手方に警告書を送付します。まずは当事者間で話し合って問題を解決する方法を探そうとするわけです。警告書は非常に専門的な内容を含むことになります。しっかりと準備して対応しましょう。
なお、警告書は、他に「警告状」「催告書」「通知書」などの表題にすることもあります。
例えば、産業財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)を侵害する場合は、これらの権利が存在していることが必要です。これらは登録により発生する権利なので、間違いなく権利が発生していて、かつ警告段階で存続しているかを確認する必要があります。もちろん相手の行為が貴社の権利の範囲内に入っていることの確認も必要です。
一方で、著作権は、登録がなくても発生する権利ですので、登録手続をしていなくても警告書を送ることができます。ただし、権利存続期間が満了していないことを確認する必要があります。例えばその著作権が法人著作(法人の名義で公表された著作物)ならば、原則として公表から50年間で権利が満了してしまいます。あるいは、そもそも著作権が発生していない可能性もあります。これは裁判をしてみないと確認のしようがないのですが、問題となる対象が十分な著作物性を有しているかどうか確認する必要はあるでしょう。その他にも、著作権法には適用除外の規定が多いので、相手の行為がそれらの例外に該当しないか確認する必要もあります。
また、不正競争防止法に基づく場合は、そもそも何かの権利に基づいてそれを行使するという性質のものではありません。貴社商品の「商品名」や「商品形態」とよく似ている商品を製造や販売する行為は、フェアな競争ではない(不正競争行為)として、排除することができます。すなわち、他の知的財産権は、(登録があるにせよないにせよ、)何らかの権利に基づいて、それを侵害するかどうかという問題なのに対して、不正競争防止法は、貴社の販売する商品の商品名や商品形態と、相手の販売する商品の商品名や商品形態を直接比較することになります。そのため、自社の商品のどの部分が不正競争防止法で保護されるのかを見極めた上で、相手商品のどの部分が不正競争防止法上問題になるかを検討する必要があります。
すべてに共通する事項として、相手方や、相手方商品の販売方法などを特定することが重要です。警告書は法律的にも重要な書類なので、誰に対してどのような内容の書類を送るのか、事前にしっかりと情報収集して確認しておく必要があります。
商標権侵害のケースを例にとると、たしかにその店舗が模倣品を販売する行為も貴社の商標権を侵害するので、警告書を送って販売停止させることは可能です。しかし、製造元は同商品を他の店舗にも卸している可能性が高く、そうした卸売店や小売店に対してしらみつぶしに対応していくことは、コストパフォーマンスの観点から好ましくありません。模倣品対策では、可能な限り“上流”で対応するのが鉄則です。すなわち、まずは商品の製造者に対して警告書を送り、製造自体を停止させるよう試みるべきです。その上で、既に製造され流通している商品については、各卸売店や小売店に販売停止を呼びかけるか、製造者に回収させるよう働きかけるかなどを戦略的に判断していくことになります。なお、その商品が輸入商品の場合、まずは輸入者の情報を入手することを優先させます。
なかには、製造者や輸入者の情報が容易には入手できないこともあります。そうした場合でも、ある程度時間やコストをかけてそれらの情報を手に入れるよう努力することが、その後のスムーズな手続に繋がることが多いです。どうしても入手できない場合は、販売店に対して警告書を送るなどして、仕入先情報を芋づる式にたどっていく方法もあります。
模倣品がインターネット上のショッピングモール(楽天市場やアマゾン)で販売されている場合、これらのサービス事業提供者に対して対応を求めることもあります。この場合は、出品停止の警告書を送るというよりも、対応の協力を求める内容にします。
一般に、警告書の最大の目的は、模倣品の製造や販売を停止させることにあります。各法律の規定に基づき、差止請求権を行使する旨を記載します。併せて、在庫の破棄も請求します。
更には、過去の販売分に対して、損害賠償の請求をすることもあります。販売数量が少ない場合は、手続の簡略化やコストの観点から、この請求をしないこともあります。
その他、信用回復措置(謝罪広告の掲載など)を求めることもあります。
また、上記の請求をするにあたり、様々な前提条件が必要になることが多くあります。これらの情報を開示するよう相手方に求めても構いません。例えば商品の販売数量や販売場所、在庫数量、輸入商品の場合は加えて製造元や工場の情報、仕入原価などを警告書中で尋ねることが可能です。
警告書にどのような内容を記載するかは、ケースバイケースです。事案ごとに戦略的に判断する必要があります。
権利者がご自身で送られる場合も、確実に届いたことを確認するためできるだけ書留等にすべきですが、通常の郵便で送ることもあるようです。なお、警告書は信書に該当するので、宅配便やメール便で送ることはできません。
ただし、やはりいきなり訴訟を提起するのではなく、まずは警告書を送付するのが一般的です。警告書でどのような内容を伝えて、相手方がそれにどう反応したかという情報は、裁判で重要な役割を果たします。そもそも日本ではほとんどのケースは訴訟までいかずに、話し合いで解決します。その可能性を潰してしまうのは非常にもったいないです。裁判には高額の費用がかかるので、可能な限り裁判の前段階で解決しようとすることが重要です。
しかし、出願をしていないからといって模倣品対策を諦めるのは早計です。場合によってはこれから出願することで権利を得られる可能性もあります。あるいは、著作権や不正競争防止法などの登録不要な法律に基づいた主張ができるかもしれません。どのような対応が可能かアドバイスいたしますので、模倣品を見つけたらまずは弊所までお気軽にご相談ください。(※模倣品対策のご相談は無料です。)
- 警告書作成及び送付費用 : 80,000円*1
- 回答書作成及び送付費用 : 50,000円*2
*22通目以降の回答書が必要になった場合のみ、1通ごとに本費用が発生します。
※ 2016年より、成功報酬を廃止しました。これに伴う他項目の値上等はございません。
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