義烏と福田市場
義烏(イーウー)は、上海から約350km南に位置する、中国浙江省の都市です。金華ハムで有名な金華市に属し、約200万人の人口(うち流動人口130万人)を抱えると言われています。他の都市に比べて出稼ぎ労働者及び外国人の比率が大きいのが特徴です。

義烏自体は中国の一地方都市に過ぎません。しかし義烏には、中国最大(そして世界最大)の雑貨卸売市場、福田市場があり、中国全土からありとあらゆる商品が集まってきます。日本では100円均一の商品の発信地として広く知られています。

福田市場は東京ドーム約30個分の広さを誇り、約6万軒の店舗が常時入居しています。ここで見つからない商品はおよそありません。世界の工場・中国で製造されたありとあらゆる商品が、ここ義烏福田市場に集まってくるのです。

福田市場とは・・・

2002年に開業した義烏国際商貿城(福田市場)、中国小商品城、賓王市場の三つの大規模日用品の卸売市場が立地しており、中国東部最大の物流基地である。世界中のバイヤーも多く訪れ、日本の100円ショップ等の商品のうち、中国産のものは多くがここを通過している。

  • 義烏国際商貿城一区:2002年開業、床面積34万平方メートル、店舗は1万店余。
  • 義烏国際商貿城二区:2004年開業、床面積60万平方メートル、店舗は1万店余。
  • 義烏国際商貿城三区:床面積46万平方メートル。
  • 義烏国際商貿城四区:2008年開業、床面積108万平方メートル、店舗は2万店弱。
  • 義烏国際商貿城五区:床面積64万平方メートル、店舗は7000店余。
  • 中国小商品城・篁園服装市場(六区):2011年開業、床面積42万平方メートル、ファッションアパレル専門。
  • 賓王市場:床面積32万平方メートル、加工食料品他を扱う。

義烏市場公式ページ 義烏購 http://jp.yiwubuy.com/

出典:Wikipedia
義烏福田市場の外観(2区の一部)

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福田市場の内部
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福田市場と偽物
もともと福田市場は、中国全土からB級品が集まることで有名な市場でした。いまでも義烏の商品はあまり品質が良くないと言われ、購入した商品の3割は不良品であるとも言われています。さらに、義烏は偽物が多いことでも有名です。福田市場には偽物が溢れており、ほんの少し歩くだけで簡単に偽物を見つけることができます。初めて訪れた方はみな、これほど大量の偽物が堂々と販売されている事実に驚きます。義烏には世界中から貿易関係者が買い付けに集まるので、中国全土で製造された偽物が義烏を経由して世界中にばら撒かれています。

上の画像は、商標権や著作権など、一見して誰にでもわかる偽物を集めました。義烏では数え切れないほどの種類の商品が売られていますが、中国メーカーがゼロから開発した新商品はほとんどありません。ほぼすべてが日欧米のメーカーが開発し、よく売れた商品を模倣した商品か、従前から販売されている汎用品(食器など)です。従って、特許権や実用新案権、意匠権を侵害する商品や、不正競争防止法上問題がある商品も大量に売られています。

もちろん、だから福田市場が悪の巣窟だということではありません。例えば日本の商標権や特許権を侵害する商品でも、必ずしもそれが中国で違法というわけではありません。知的財産権は国ごとに発生するため、中国で権利が発生していない(例:中国で商標登録をしていない)ならば、その模倣品の製造や販売は違法でない可能性があるからです。問題なのは、こうした商品を福田市場で購入し、日本に輸入して販売する日本人がいることです。日本のネットショップ、ネットショッピングモールを覗くとおびただしい数の偽物が販売されています。これらのほとんどは日本人が福田市場や中国のネットショップで購入した商品を日本に持込み、転売しているものです。偽物を買う人日本人がたくさんいるから、福田市場には偽物が溢れているのです。

貿易特区としての義烏
義烏は国際貿易特区として指定されています。県レベルでは中国初だそうです。このため、国際送料、特にEMSの料金が圧倒的に安く、中国からの小口発送は義烏が中心となっています。

義烏には中国全土からあらゆる雑貨が集まってくるので、商品の仕入れや発送を義烏に集約することで大幅なコストダウンが可能となります。そのため、義烏に拠点を置く日本の貿易会社がたくさんあります。また、これらの事務を代行する輸入代行業者も無数に存在します。中国商品を小口で輸入し、ネットショップなどで販売するタイプの商売が近年急激に成長しましたが、それらの商品もほとんどが義烏から発送されています。

中国最大のタオバオ村
淘宝(タオバオ)をご存知でしょうか。正確には淘宝网といい、中国最大のECショッピングモールで、約250万店舗が出店し、中国オンラインショッピングのシェア70%を獲得しているといいます。もはやタオバオで買えないものはなく、実際に中国では商品を探すときや価格相場を調べるときにはまずタオバオにアクセスするのが当たり前になっています。

このタオバオに出店する店舗が集まっている村が、中国にはいくつかあり、タオバオ村と呼ばれています。同じビジネス形態の会社・店舗が集合することで、仕入れや物流を効率的に行っているのです。こうしたタオバオ村は、中国に200箇所以上あるそうですが、その中で最大のものが義烏にある青岩刘です。

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義烏へのアクセス
日本から義烏に来る方法は何通りかあります。一応義烏にも国際空港があるのですが、残念ながら日本からの直行便はありません。そこで、まずは飛行機で他の都市に飛んで、そこから電車かバス、タクシーで移動することになります。

ルート 起点駅 移動方法 所要時間 価格 特徴
上海 上海虹橋駅
(上海虹桥火车站)
新幹線
(高铁)
約1時間40分 約125元 最もメジャーなルートです。最近は最新の新幹線が通り、移動にほとんどストレスがありません。
上海 上海南駅
(上海南火车站)
長距離列車
(鈍行)
約3.5-4時間 約45元 最も安いルートです。
上海 上海浦東国際空港
(上海浦东国际机场)
長距離バス 約5時間 約180元 浦東空港に到着する場合に楽で、かつ安価なルートです。
上海 上海浦東国際空港
(上海浦东国际机场)
タクシー(ハイヤー) 約5時間 約800元 浦東空港に到着する場合に最も楽なルートです。
(要事前予約)
杭州 杭州蕭山国際空港
(杭州萧山国际机场)
長距離バス 約1.5時間 約60元 杭州空港に到着する場合に最もメジャーなルートです。
杭州 杭州蕭山国際空港
(杭州萧山国际机场)
新幹線
(高铁)
約30-40分間 約50元 バスが満席の場合に利用します。空港から駅までバスで20-30分の移動がある点に注意が必要です。
杭州 杭州蕭山国際空港
(杭州萧山国际机场)
長距離列車
(鈍行)
約1.5-2時間 約35元 新幹線よりも安価です。
杭州 杭州蕭山国際空港
(杭州萧山国际机场)
タクシー(ハイヤー) 約1.5時間 約300元 杭州空港に到着する場合に最も楽なルートです。
(要事前予約)
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